ジョージ・オーウェル
自由とは、人の聞きたがらないことを言ふ權利である。
――と云ふ言葉で有名。もちろん、「ただ聞苦しい・不愉快なだけの事を言ふ權利」を主張したのでなく、「人が直視したがらない眞實を言ふ權利」を主張したものだ。
- 政治的には左翼に屬するが、右翼よりも左翼の側の問題點を屡々採上げた。その爲、左翼の人間から憎まれた。
- 非道く勘違ひしてゐる人が左翼の中にも多數ゐるのだが、オーウェルは「右翼的・保守的・反動的なものを教條的に非難し機械的に排除する事で、進歩した社會が出來する」等とは考へてゐなかつた。寧ろその逆で、多くの左翼が――右翼以上に――非人間的で冷酷なやり方で社會を機械的なものにしようとしてゐる事を激しく非難した。
- オーウェルは、左翼の指導者が自らに都合の良いやうに社會を弄り囘し、特權を獲得しようとしてゐる事態を憂慮してゐた。左翼として耳に心地好いスローガンを叫びつゝ、實は傲慢で冷酷な態度をとつてゐる非人間的な人間を、オーウェルは憎んだ。それを理解しないで、「俺樣は左翼だからオーウェルの加護を受けてゐるのだ」等と信じてゐたら、それを知つたオーウェルは何と言つただらうか。
- 右翼とか左翼とか、そんな政治的な立場のみによつてオーウェルは物事や人物を判斷しなかつた。オーウェルは自分と同じ政治思想を主張する人物・國家であつても、それだけで肯定してしまふやうな人間ではなかつた。同じ思想の共有者であつても、或は、排除すべき思想の所有者であつても、オーウェルは政治的でない、もつと別の觀點から眺める事を屡々してゐる。だからこそオーウェルは、政治活動家としてよりも文學者として認知され、評價されてゐる。
- オーウェルの言ふ「言論の自由」は、單に政治的な壓力に抵抗する自由を意味するのではなく、個人の内部で政治的信條に基づいて事實を歪める事なく、ありのまゝに眞實を語る自由を意味する。
著作
- 『ビルマの日々』
- 2003-02-15
- 『カタロニア讃歌』
- 2018-02-22
- 『1984年』
- 2003-02-15
- 2018-02-22
- 『動物農場』
- 2003-02-15
- 2018-02-22
有益な參考書
- 『ジョージ・オーウェル 文學と政治』
- 照屋佳男著
- 行人社
- 『人間通になる読書術』
- 松原正著
- 徳間書店