きだみのる(山田吉彦)

略歴

著書

モロッコ紀行
1943年
日光書院。
気違い部落周游紀行
「世界」(岩波書店)に掲載(1946年、全2囘)。
気違い部落周游紀行・吾妻書房版カヴァ
1948年・吾妻書房
1950年・時事通信社
1951年・新潮文庫
1981年・冨山房百科文庫

我々は頻繁に日本的なもののうち秀れたものが農村にあると知識人のいふのを聞かされなかつたであらうか。この言葉は無條件に受けとる前に、どうも一應實際に就いて吟味してみる要がある。

1957年、松竹により映畫化。「氣違ひ部落」
きだの代表作だが、「氣違ひ」と「部落」と云ふ語が入つてゐる題名なので、テレビでも新聞でも採り上げる事が出來ないらしい。内容は『にっぽん部落』の方が良い。
気違い部落紳士録
氣違ひ部落紳士録・カヴァ
1950年・時事通信社。(1958年、講談社ミリオンブックス)
モロッコ
モロッコ・表紙
昭和26年10月5日・岩波新書青版76。
山田吉彦名義。
パリ・東京・モロッコ
1952年・要書房。
霧の部落
霧の部落・カヴァ
1953年・筑摩書房。
道徳を否む者
1956年・新潮社・一時間文庫43。
自傳的な作品。初期のアテネ・フランセの樣子が描かれてゐる。
paburi/新潮オンラインブックス 道徳を否む者
新潮オンデマンドブックスサービス 道徳を否む者
南氷洋
南氷洋・表紙
一九五六年九月十五日・新潮社。
人生レポート
人生レポート・カヴァ
1957年、雲井書店。

してみると考へる葦は必然的に間違へる葦でもあるのだ。考へるといふことは間違へる特權を含んでゐるのだ。でなかつたら成長とか進歩とかはないであらう。要は正直に考へ正直に間違へる事だ。

気違い部落の青春
氣違ひ部落の青春・カヴァ
1957年・講談社。
精神の玩具
1957年・講談社。
日本文化の根底に潜むもの
日本文化の根柢に潜むもの・カヴァ
1958年・講談社。
部落の幸福論
1958年・講談社。
鼻かけ男の話
1959年・光書房。
東京気違い部落
1960年・新潮社。
ドブネズミ漂流記
ドブネズミ漂流記・カヴァ
1961年・中央公論社
「ドブネズミ號」と名附けた自動車で日本の各地を廻つた記録。
渚と潮
渚と潮・カヴァ
1961年・新潮社。
単純生活者の手記
1963年・朝日新聞社。
初めに部落ありき
1965年・家の光協會。
にっぽん部落
きだの著作の中で、日本の文化を分析したものとして、一番良い。
同じ玉子でも
にっぽん部落・表紙
1967年・岩波書店・岩波新書(青版623)。

部落の生活で根幹的に大切なことは何か。それは部落が何事につけても一つに纏ることだ。これは協調、協同、協力、封建的な言葉でいふと和を豫想する。如何に部落が小さく、お念佛でいふやうに日毎に、そして朝に晩に顏を見上げ見下ろしてゐる親しさの雰圍氣の中にあるといつても、すべての問題にすべての住民がすべての機會に常に同じ意見であり得ないことは明かだ。したがつて部落が一つに纏るには他に對する自發的服從或は自己制限が必要となる。こんな制限を自分におしつける原因理由(モチーフ)はどこにあるのか。この問題は對象の部落も出された課題もともに重要だ。それは人間が集まつて作る一番單純な集團の中で組織はどうして生まれるか、支配と服從はどのやうにして得られるかに關聯してゐるのだから。

気違い部落から日本を見れば
気違い部落から日本を見れば・カヴァ
1967年・徳間書店。
人生逃亡者の記録
昭和47年7月25日初版・中央公論社・中公新書293
自傳。
ニッポン気違い列島
ニッポン気違い列島・カヴァ
1973年・平凡社。
「太陽」(平凡社)連載「小さな村から」(昭和45年7月號〜46年6月號)に加筆。
新放浪講座
新放浪講座・カヴァ
1975年・日本交通公社。

譯書

社會學と哲學
デュルケーム著
1925年・岡書院。
昭和18年7月20日發行・創元社・哲學叢書
知識人の反逆
ジュリアン・バンダ著
1925年・日光書院。
動物哲學
ラマルク著
1927年・岩波書店。
未開社會の思惟
レヴィ・ブルユル著
昭和10年7月10日(昭和14年普及版)・小山書店。
1953年9月25日(上卷)/1953年10月5日(下卷)・岩波文庫。(http://www.iwanami.co.jp/.BOOKS/34/0/342131+.html
昆蟲記
ファーブル著
林達男と共譯。
岩波文庫
連載 本の話―4―
太平洋民族の原始經濟
マルセル・モース著
1943年・日光書院。
ロジェ・バイヤン著
1958年・講談社。

選集

きだみのる自選集
讀賣新聞社。
  1. 「気違い部落の青春」「鼻かけ男の話」ほか
  2. 「道徳を否む者」「精神の玩具」
  3. 「モロッコ」「南氷洋」「海と欲望」
  4. 「気違い部落から日本を見れば」ほか
新日本文学全集(12)「きだ・みのる集、深沢七郎集」
1963年・集英社。
「南氷洋」「氣違ひ部落周游紀行」「年譜」所收。

その他

1950年 「四ツの島の明暗」をモンタルギュスの假名で文藝春秋に書いたが、誤譯指摘されて中止。

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