初出
闇黒日記 平成十七年八月七日
公開
2020-11-28

司馬遼太郎対談集『日本を考える』より

引用。

正義を行なうためには、悪い奴を殺さなきゃ駄目ですよ、政治では。殺すというのにはいろいろな意味があるけれど、殺されていたら駄目ですよ。

それは一つの政治的条件になるけれど、その点わたしは非常に主観的に見る。自民党の代議士が、本当の意味での愛国心にめざめるかめざめないかが問題でしょうな。主観的なものなんですよ、政治は。客観的なものじゃないのです。だから、主観的な条件を変えうる人がいるかいないかということになる。そんなときに、客観的な情勢が役に立つというだけでしょう。

そうですね。政治家は、やはり国のためを思わなければ意味ないんですから。資本主義とか社会主義とかにもたれかかっているだけではいけない。政治はイデオロギーじゃないんですからね。国あるいは世界を考える。もっと拡大すれば、宇宙を考える。

――如何だらうか。發言者は、嘗ての自民黨の政治家である。

この人、ほかにどんな事を言つてゐるか。

なぜ次元が低くなったかというと、戦後、政治家は占領政策に協力しなければならなかったからですよ。だから、いまだに国際問題に対して自主的判断ができない。例えば中国問題なんかそうで、日本人自身がそれほど深刻に考えていない。アメリカの影響で考えることができなくなったんです。

日本人は、アメリカの占領によって、外交感覚をマヒされているんですよ。だから、アメリカにくっついてさえいればいいんだという感覚を払拭するためにも、中国問題を考えなくてはいけないんです。

――何うだらうか。「良い事を言っている」と感じた「反米保守」の人は多いのではないか。

さて、「この人」は誰であつたのだらうか。判つた人はそんなに澤山はゐないだらうと思ふ。實は宇都宮徳馬氏である。

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