制作者(webmaster)
野嵜健秀(Takehide Nozaki)
公開
2011-03-03

大川周明『日本二千六百年史』

書誌

「序」より

ヘカイトス、ヘロドツス、ツキヂデスの三人は、西洋史の鼻祖と呼ばるる古代希臘の三大歴史家である。此等の歴史家は、約半世紀づつ隔てて夜に出でたが、それぞれ歴史に就て下の如く言つたと傳へられる。先づ世紀前五百年代に餘に出でたるヘカイトスは、歴史を以て過去の知識を現在に傳へるものとした。次で世紀前四百五十年代のヘロドツスは、歴史とは過去によつて現在を説明するものとした。最後に世紀前四百年代のツキヂデスは、歴史は過去・現在より推して未來を察知すべきものとした。即ちヘカイトスは過去の重點を過去に置き、ヘロドツスは之を現在に置き、ツキヂデスは之を未來に置いたのである。三者の主張には、何れも一應の道理がある。而もその全てを綜合することによつて、歴史の全面目が初めて完全に發揮されるであらう。

……。

inserted by FC2 system