鋼鉄面皮デカイオー
おなじみのオープニング。誰もが知ってるオープニング。知ってる筈。
新番組『ふたりはカススタイラー』!!
ウェブの標準を守ること、それがのあとあやのに与えられた使命……。
スポーツ万能、勉強嫌いで無鉄砲だけど人一倍正義感が強くクラスでも人気者の“のあ”と成績優秀で常にクラスのトップ、ちょっと見にはお高くとまっているようだが、実は天然ボケの“あやの”の性格はまったくの正反対。云々。
もうすぐ放送開始!
本当かどうかは知りませんが。
と言ふか、まさか東映、おーぷんそーすのキャラクターをパクったんじゃないだろうな。
時に西暦2014年。
センター街に、ドクター・トミーのササッキー来襲。
トミーに対し、皮肉は通じず。困った機動隊の隊員は、トミーを放置。
そこに現われたドクター・真木のデカイオーに、めちゃめちゃな状況の収拾を任せる事にした。
デカイオー、初出撃。
デカイオー、トミーのマジレスを体験。
固まる。
その後、再起動。
……。
何と言ふか、反省点は沢山あったはずだが、真木は助手のいづみと一緒に夕飯を食べていた。メニューの詳細は公表されず。多分、細かい事は考えていなかったんだと思う。
第三新東京タワーに、トミーのマツザカー襲来。
当時、高田馬場駅前にあったルノワールは4軒。
トミー、神田川沿いに下って、高田馬場に到達。
……。
デカイオー、第三新東京タワーを破壊するも、トミーを撃退。
ドクター・真木、不評。
トミーと真木のところへ、「国際ロボットレースへの招待状」到着。
トミーの秘書・マリアン。
ガルベースの採用を提案、採用される。
トミーはしょっくをうけた。
ロボットレース。
デカイオーは故障して、セーフモードで動いていた。
トミーは知恵の輪も外せない事が判明した。
いづみがアニオタであるだけでなく、何か凄い人である事も判明した。
レース会場では、あいかわらずトミーがマリアンちゃんに言い負かされていた。
トミー、マリアンちゃんの前に沈黙。
結果として、トミーは権威を失った。その程度で済んだのは、ある意味幸運だった。良く意味がわからないが。
ロボットレースの主催者は、ドクター秋本だった。
秋本は、いづみの父だった。
とりあえず、ガルベースとデカイオーには、スタンプ帳が渡された。
ロンドンに向かうと、そこは雨だった。
トミーにとって、全てに優先されたのは、傘を買う事だった。
なぜロンドンの傘屋さんとトミーとが知り合いだったのか。良くわからないままスルーされてしまった話題だが、何かの伏線にすれば面白かったかも。先の事、全然考えていなかったからなー。
さて、この頃に真木の昔話が突然出現している。
なんか矛盾だらけの話だったのだが、そこで真木と、いづみの母・秋本鶴の関係、そして、いづみとマリアンちゃんが姉妹である事が判明する。
作者にも話の展開が全然読めなくなってきた頃であった。
カイロ。
衛星軌道上から降ってくる毒電波に対し、耐性を持つのはデカイオーとガルベースのみ。
ということなのだが、タイトルのオヤジギャグとしてはこの回が一番露骨だったように思われる。だから何だと言われても困るが。
モスクワでは、なぜか古本市の話題が出現。
このあたり、いろいろな事情があってアレなのだが、いろいろとアレがナニなので裏話はしない。偽証は死に値する。とりあえず、HDDを調べても、クラッシュしたので当時の記録は残っていない。
まあ、このあたりまではこちらの予定通りにストーリーは進んでいたと思っている。
しかし、真木とトミーよ、あんたらが作者の意図に反して勝手なシナリオを作る必要はないんだぞ。
閑話休題。
「風、疾きこと風の如く。林、徐かなること林の如く。火、侵掠すること火の如く。山、動かざること山の如し」
真木は、ぽつりと呟いた。
「わたしは誰。わたしは秋本いづみ。秋本毒太と秋本鶴の娘。秋本まりあ。わたしの姉……」
いづみも、ぽつりと呟いた。
「ひょっとして、マリアンちゃんといづみちゃんとは、パーソナルパターンが、実は酷似していたりするんじゃないか?」
トミーが思いつきをまた、考えもなしに口に出した。待っていたかのように、マリアンがつっこんだ。
「ボスぅ? またそんな好い加減なことを言って。つっこまれてもいいのかな?」
「好い加減だと? 何を言うか。私の理論に問題はない」
「ばかねぇ。あんたの理論なんて誰も気にしないわよ」
「そんなことを言って、お前自身、俺の理論の誤りをきちんと論證する気なんてないだろ?」
「あったりまえじゃない。そんなこともわからないのボス? だからばかなのよ」
「……どうせマリアン君は俺のことなんかどうでもいいんだろ?」
デカイオーでは、真木といづみが、ためしに席を交換してみていた。
「何だかへんな気分です、真木先生」
「ん、違和感でもあるのかね、いづみくん」
「いえ、ただ博士の匂いがする」
もちろん、例によって盗聴しているマリアンちゃん。
「なにが匂いよ。変態じゃないの?」
「データ受信……って、盗聴はやめようよ、な、マリアン君?」
トミーが溜め息をついた。
それを完全に無視して、マリアンちゃんはボタンを押した。
「盗聴レヴェル、第二段階へ移行」
「第二段階? なんだそれは? 好い加減にしておけよ。野嵜も、盗聴だの何だのと書いていると、Googleからロボットさんがこなくなるぞ」
「……感心しないのはわかるけど、備えはいつも必要なのよ。野嵜の小説で脇役を続けるためにはね」
「備え?」
「飽きられたと感じた時、わかるわ、それは」
マリアンちゃんが、珍しく深刻そうな顔をした。
「それと」
「それと?」
「アニメの話がわからないと、この小説はつらいわよ。特に今回はエヴァ」
デカイオーのコックピットに話を戻す。
「なんだこれ」
真木が、いづみの席のコンソールに附いている謎のメカを指差した。
「え? あっそれはっ」
いづみがちょっと、焦りを見せた。
「しらんぞ、わしはこんな機械を附けた覚えはない」
「あっ、駄目です……なぜ、なぜ博士にわかってしまったの?」
真木がそのメカをコンソールから剥離そうとした。
「博士の知識では、そのメカの正体はわかるはずがないわ。なのに……」
「この、このっ!」
真木は、へんにむきになって機械をいじっている。
「だめッ」
いづみは、席から立ち上がった。今、デカイオーを操縦しているというのに。
ひざが、操縦スティックにぶつかった。
デカイオー、制御不能。
「真木博士、それにはさわらないでください!」
しかし、真木はメカを外してしまった。メカは予備電源に切替った。
「真木がいづみを拒絶?」
マリアンは、ちょっと嬉しそうな表情を浮かべた。
「盗聴回路切断、デカイオーのコックピットがモニターできません」
デカイオーは、頭を壁(どこ)にがんがんぶつけはじめた。
可及的すみやかに、真木といづみは席を替った。
いづみはコンソールを殴りつけて、拳に怪我をしていた。
「……いづみくん、きみがなぐりたかったのは間違いなくわしだね」
「……いえ」
いづみは自分の席で、天を仰いで、はぁっと大きな溜め息をついた。
「それは盗聴器だろう」
「……」
「いづみくん、きみは話してくれない。もちろん、マリアンくんも教えてくれない。トミーは知りもしない。きみたち秋本一家は、何をしているんだね」
ドクター秋本の執務室。
部下の眼鏡っ娘メイドが、なぜか詰将棋の本を見ながら、桂馬のこまをぴしりと盤に叩きつけた。
「予定外のガルベースの健闘。デカイオーはともかく、ドクター・トミーなる人物の活躍は怪しいと言うしかない。そこできみに、ドクター・トミーと愉快な死ね死ね団の周辺の調査を命じたわけだが」
仕事中に遊んでいるメイド服の部下を、非常に不愉快そうに見詰めながらドクター秋本が声をかけた。
「オヤジギャグと嫌みの応酬しかしない、下らん連中です」
心底軽蔑したような口調で、メイド服の部下が答えた。もう本当に、吐捨てるような口調だった。
「切り札は、知恵の輪だという噂です」
「知恵の輪?」
「ドクター・トミーは知恵の輪を外せなくて、毎朝そうとう焦れるようです。その目の前で知恵の輪を外す秘書がいて、ますますいらいらが募るそうです」
「秘書……興味があるな」
「良く情報が伝わっていますね。そうです。その秘書は、女性です」
ますます軽蔑したような表情になって、メイドさんは詰将棋に熱中した。
「メイドくん……きみは何か勘違いしているようだが、わしはすけべ心があって、秘書の素性に興味をいだいたのではないぞ。ただ、わしの良く知る女に、知恵の輪が得意で、とても手先が器用だったやつがおるのだ」
秋本の目は、遠くを見詰めるような視線になった。
「ああ……あれは」
「ところで、ドクター」
「……誰だね、人の話の腰を折るのは」
秋本が、不快さうな表情を、ますます不快であるという感じに曇らせた。
「私です。ええ。私。メイド服の部下美少女こと、深部メイ」
「深部メイ……そうか。きみの名前は、そういう名前なのか」
「……そうですがそれが何か?」
自分の直属の部下の名前くらい、ちゃんとおぼえておけよと、メイド服の深部メイは、ひそかに思った。そして、露骨に言った。そういう性格なのである。ハンドメイドのメイさんとは、根本的に性格が違うのである。こちらは非常に嫌みな性格である。作者に似たらしい。
ちなみに、彼女は某小説に登場した部下Bこと深部氏の親戚である←せいぜい二十八人くらゐしか知らないよそんな小説。
なんか年末なので年末スペシャルにしてみました。もちろん、総集編です。次囘は、次回こそは最終回、「ビッグ・アップル」。ちゃんと最終回にする予定。予定は未定にして決定にあらず。一往年内に完結させたいが、かの超のつく番組の顰みに倣つて年明けになぜか最終回をやったあと、春まで傑作選をおとどけするかも知れない。