制作者(webmaster)
野嵜健秀(Takehide Nozaki)
公開
1999-09-22
最終改訂
2017-02-02

『日本の將來・ソ聯のすべて』

まへがき

『中國のすべて』に引き續いて今度は『ソ聯のすべて』をお手許にお届けする。偶々けふは2月13日、ソ聯の作家ソルジェニーツィン氏逮捕のニュースがどの新聞の夕刊にも大きく報ぜられてゐる。偶然といふのは重なるものらしく、ゆふべは遲ればせながらフォーリン・アフェアーズ一昨年10月號に載つてゐるブレジンスキー氏の「冷戰はいかにして演じられたか」といふ論文を讀み、つい徹夜してしまつたお陰で、さてこれから寢酒を一杯と思ひながらテレビのスウィッチを押したところ、いきなり「ソルジェニーツィン氏逮捕」の文字が目に飛び込んで來た。朝の七時を少し廻つた頃である。

本文の討論中にも言論の自由を許さぬ政府に對してソルジェニーツィン、サハーロフ兩氏を始め自由主義的知識人達が如何に身の危險を顧みず、眞劍な抵抗運動を行なつてゐるか、それに對して歐米のマスコミや知識人が如何に彼等を支援し、ソ聯の政府批判を執拗に展開してゐるか、詳細に報告されてゐる。のみならず、反體制的知識人に對するソ聯政府の肅清はスターリン時代に較べれば一見手ぬるくなつた樣ではあるが、實は一層巧妙、かつ陰慘な方法によつて續けられてゐるので、サハーロフ、ソルジェニーツィン兩氏の身邊もいつ危險にさらされるか解らぬといふ憂ふべき觀測が出てゐた。豫測は不幸にも適中した。


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