制作者(webmaster)
野嵜健秀(Takehide Nozaki)
公開
1999-09-06
最終改訂
2017-02-02

『日本の將來・中國のすべて』

まへがき

私は高木書房と縁もゆかりもない。その高木書房から既刊『悲劇は始つてゐる』の姉妹篇を出版したいので企畫を立ててほしい、また出來れば編集も手傳つてくれといふ依頼をうけた。私は芝居の仕事が忙しくてそんな暇は全くなかつたが『悲劇は始つてゐる』に書くと言つて約束を果せなかつたので、ひきうけるはめになつてしまつた。政治經濟に素人の私が本書の企畫監修者になつたわけは、右の事情によるものである。

依頼をうけた私は讀者の立場からこの書の企畫を立てた。それは私自身、日本政府が新たに國交を開いた中國の實状を全く知らされてゐないので、この機會に、隣國大陸の内政、經濟、外交政策のすべてを知りたいと思つた理由による。『日本の將來・中國のすべて』といふ題も私が命名したものだが、この書は、所謂暴露記事ではない。中國の現状と將來を事實に基いて分析し、推論したものである。

したがつて、このシンポジュームに參加された各界の專門家諸氏は、中國が善いとも惡いとも言つてはゐない。事實には善いも惡いもないからである。自由主義の學問といふものは、最後の判斷を讀者の叡智にゆだねるのが本筋であらう。


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