公開
2005-09-29
最終改訂
2005-10-22

セロハンテープは本の敵

セロテープで本を補修しない事

本の修繕にセロテープを使ってはいけません。安いものだと三箇月、高級品でも数年で糊が駄目になります。接着力がなくなるだけならまだ良いのですが、「べたべたになって余計なところにひっ附く」「からからに乾いて痕を残す」などの困った副作用を生じます。べとつき始めたテープは剥がせませんし、糊が紙に染みを残します。その染みが乾燥して永久に本の上に残ります。

セロテープは、大事なものに使った場合、百害あって一利なしです。オーヴァかも知れませんが、本にセロテープが貼られた瞬間、本の価値は消滅します。これまで、どれ程の文化財がセロテープの所為で駄目になったか、想像がつきません。セロテープは、文化財の大敵です。ちなみに、「セロテープは有害である」との主張は、福原麟太郎が書いた例もあり、結構有名です。

糊を使って修繕すべき事

新刊の場合、本が傷まない保存の仕方をしておけば良いのですが、既に良くない状態である古本の場合、修繕せざるを得ない場合はあり得ます。

本の修繕は、糊を使ってするのがベターです。染みを残さず、変質しにくい糊を使用します(澱粉糊は変質するので、避けるべきです)。

糊は紙同士を接着するのに向きません。紙と指とは良く接着するのに、なぜか紙同士はくっ附かない、といったものがよくあります。糊メーカの開発者は、テープのメーカの開発者同様、切実に修繕しなければならないものがあって、それで接着のための糊なりテープなりを使用する、なんて機会を殆ど持たないものです。いいかげんな商品ばかりが売られる所以です。

紙同士がうまくくっ附くのは、ほとんど「糊の副作用」みたいなもので、まともにくっ附く例の方が少い位です。落着いてやらないと、破れ目はうまく貼り合さりません。本の修繕には根気が必要です。糊による修理は、テープと違って気軽にできません。

しかし、叮嚀に作業すれば、テープの場合よりも見た目が良くなりますし、良い糊を選べば、本の紙に悪い影響が出ません。

とにかく、テープを貼るのだけは行けません。セロテープは、すぐに捨てる様なものにしか貼ってはなりません。紙にとって、セロテープの安い糊は紙にとって極めて有害です。

そもそも本の修繕はしない方が良い

実際のところ、本の事を良く知らない人が適当に修繕の真似事をするのは、本にとって一番良くない事です。本の価値を落したくなければ、本を傷めないのが一番です。

傷んだ本は、それ以上ぼろぼろにならない様に「そっとしておく」のが無難です。素人が適当に弄り回して駄目にしてしまっては元も子もありません。

高い本、大事な本は、ビニール袋等に抛り込んで、そっと本棚に安置しておいて下さい。新本でも傷んだ本でも。本を傷めないためには、「読まない」事が、もっとも効果があります。まあ、それでは本を買った意味があんまりありませんが。

余談

ついでながら、輪ゴムもまた物を長期保存するのに有害です。本にかけられた輪ゴムは必ず外して下さい。

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