｢日本国憲法」の理念・理想とは何だらう。平和主義・戰爭抛棄は理念ではありません。基本的人權の尊重も理念ではありません。國民主權も理念ではありません。それらを通して我々日本人が何を實現したいのか――そこまで蹈み込んで議論する事が必要だと思ひますが、誰も問題にしません。
大日本帝國憲法は、今でこそ多くの人から缺陷憲法だの何だのと非難を浴びせられてゐますが、日本人が西歐の文明社會に打つて出る意氣込を示したものである事がはつきりしてゐます。一方「日本国憲法」はと言ふと「私たちは戰爭をしてしまひました、ごめんなさい」と云ふ反省文でしかないのが明かです。
大日本帝國憲法に不備があつた事は確かです。が、だからと言つて「全部ダメ」と云ふ事にしてしまひ、一から新しい憲法を書上げた――しかし、にもかかはらず「改正」だと言張つて、連續性を維持した事にしてゐる。不備のある部分があるならそこだけを直す、と云ふ風にしなければ改正ではありません。
｢日本国憲法」そのものに權威があるとは、私は思ひません。GHQの指導下に「日本国憲法」は制定され、アメリカの都合で第九條の解釋は｢絶對平和主義」から「自衞はOK」に變更されました。｢日本国憲法」の運用は全てアメリカの言ひなりです。ならば偉いのは｢日本国憲法」ではなくアメリカです。