在日米軍基地と
国内の米軍専用施設と
本年5月15日附けの読売新聞「編集手帳」に、基地という"影"の部分をほぼ一手に引き受けたのが沖縄である。いま現在も在日米軍基地の75%はこの地にある。
と書かれてゐる。同日の同紙一面記事「沖縄きょう復帰30年」には、沖縄県内の米軍基地は復帰後も日米安保条約に基づいて引き続き維持され、現在も国内の米軍専用施設の75%が集中している。
とある。
ここで氣をつけて貰ひたいのだが、在日米軍基地
と国内の米軍専用施設
とは、全くの別物である。實は、沖繩に75%
あるのは、国内の米軍専用施設
であり、在日米軍基地
ではない。この国内の米軍専用施設の75%
と云ふ言ひ方が、大變に欺瞞的な言ひ方である事に注意されたい。
國内に、軍關係の飛行場は五箇所ある。
このうち、最初の4箇所は、自衞隊が使用し、一部、米軍が共用してゐる。が、いくら米軍が共用してゐようとも、共用である限り、その飛行場は国内の米軍専用施設
としてカウントされない。国内の米軍専用施設
である飛行場は嘉手納だけ――詰り、国内の米軍専用施設
である飛行場の100%は沖繩にある、と言へる。
国内の米軍専用施設の75%
の75%
と云ふ數字は、昨今獨り歩きして、在日米軍基地の75%
なる誤つた言ひ方を生んでゐる。
「沖縄にある在日米軍基地は、日本にある在日米軍基地の25%である」と云ふのが正解である。
沖繩は基地の縣である。それは、事實である。が、さう云ふ事實を強調する餘り、その事實を相對化するやうな事實を隱蔽しようとする政治勢力やマスメディアも存在する。注意が必要だ。
ちなみに、大田昌秀氏は、著書で兩者を嚴密に區別してゐる。苦笑。
沖繩では、一番良い就職先が縣廳、その次が在日米軍基地ださうである。そして、沖繩は、いまだに血縁關係が重視されるので、就職にもコネが絶大な力を發揮するのださうである。
また、在日米軍基地に就職したい人の爲の「豫備校」が沖繩には存在してゐるさうである。
讀谷補助飛行場は、既に使用されてゐない施設だが、いまも地主には土地の使用料が支拂はれてゐる。それ以外の土地――例へばレーダー施設などでも、地主が勝手に入り込み、レーダーの周邊を耕作してゐるさうである。施設が使へれば良い、と割切つて、米軍も文句を言はないさうである。
一方、地主逹は、貸した土地が使はれてゐないのを良い事に、基地の中を畑にして耕作してゐるさうである。が、後ろめたいのか、Aの貸した土地をBが耕作し、Bの貸した土地をAが耕作する……と云ふ風な形を取り、「他人に貸した土地を自分で耕してゐる」と云ふ批判をかはさうとしてゐるさうである。
2001年現在。
自衞隊の施設のわづか0.6%しか沖繩にはない。