三島由紀夫の「橋づくし」と「憂國」とを比較して論じよ。(「英靈の聲」を參考にせよ。)
大學一年生の時の松原正先生の授業の、夏休みのレポートの課題。
答。「橋づくし」は良く書けた小説だが、「憂國」も「英靈の聲」も、或は「豐饒の海」も、失敗作である。
そもそも憂國も英霊の聲も、キャラクタが作者の操り人形(傀儡)になつてゐて、生きてゐないので、葛藤がない。だから小説として駄目。橋づくしは、キャラクタが生きて動いてゐる。だから良く書けてゐる。
……と云ふ事です。松原先生の授業は文學の授業でした。(早稲田大学第一文学部・教養演習)