明後日：11月23日は勤勞感謝の日。勤勞感謝の日とは、勤勞を尊び、生産を祝ひ、國民互ひに感謝しあふ國民の祝日
なるものであるらしい。休みか否かは別にして、こんな訣のわからない日は祝ひたくない。この日は新嘗祭の日であつて、天皇がその年の收穫を感謝する祭の日であり、「勤労を感謝する」だか「勤労に感謝する」だか知らんが訣のわからない「勤労感謝」なんて事を國民がする日ではない。と言ふか、「感謝しあふ」つて何。道路で誰かに逢つたら「いつも勤労ありがとうございます」とか言つて御辭儀でもし合ふんですか。いま兒戲と誤變換したうちのWXGくんは偉いと思ひます。
俺が無職とかニートとかそんなんだから勤労感謝の日の悪口を言つてゐるのだらうと動機を推測してそれで全て問題は解決したかのやうに言ふ連中もゐるが、そんな嫌な人間ですらやつてゐる勤労なんて神聖である筈がない。と云ふのは兔も角、ただ天皇に關係した事を恰も天皇に關係ない事のやうに言つただけで、それで「これは戰後民主主義の祝日なのであるぞ」と威張つても、仕方がないのでないか。新嘗祭なら新嘗祭と率直に言つたら良いと思ふ。新嘗祭は天皇のする祭で、嫌な氣になる人もゐるだらうが、どうせ由來を調べたら新嘗祭の事が出て來る、そこで言換へたんだと言ふのだらうけれども、言換へて何うするの。全く無關係に作つた「勤労感謝の日」ならまだ増しだけれども、由來も何もないのに何かの日と言ふのはもつと嫌なのだらうか。
いつそ現在存在する祝日を全て廢止して、定期的にお休みする日を作つたら何うか。新学期始つて早々ゴールデンウィークで五月病になつたり、休日が無い期間が長く續いてうんざりしたり、そんな事が起きる現状は、改善すべきでないか。もつと精神醫學的・心理學的に適切と思はれる時期に、適切な長さの休みを改めて設定したら、何うだらう。世の中、もつといろいろ效率が良くなるのでないだらうか。
もつとも、昔の祝日が、今でも名を變へてではあるが、それなりに有效に機能して來たし、今でもそれなりに有效に機能してゐるのは、一年の中の重要な節目に現はれて季節を感じさせるものだつたからだ。或種の智慧が昔の人にはあつたのだと言はねばならない。が、それも祝日の祝日たる所以である行事があつて、多くの國民が參加してゐたから、日本人全體で節目の日の節目としての意義を體感し得た。一方、今の国民の祝日は、ただの御休みであり、意義はつけたりのものでしかない。勤労感謝の日なんて言つてゐるけれども、現實にはほぼ全ての國民が御休みの日と認識してゐる。なんかよくわからん感謝を「しあふ」なんて事は、絶對に無い。これでは祝日の存在意義はない。ならば祝日と言ふのはやめようよと。いつそ「ただの休日」に置換へた方がすつきりしてゐる。
世の中、兎角意義を故事つけると、妙にその意義に拘つてしまふ人が出てくる。ただただありがたがつて畏まつてゐるだけなら良いのだが、他人を侮辱する根據に持出して來るやうになるならば、そんな意義は有害無益でないか。俺の知る限り、「勤労感謝」が人間の精神を涵養する事はあり得ない。「俺は勤め人だ、偉い!」と言ひ、他人をニートと極附けて侮辱するのに「勤労感謝の日」は惡用されてゐるだけである。
俺は休めて有難いけど別に感謝なんてしない。勤労なんてものは、樂園を追放された人間に課せられた罰なのであつて、それが神聖なのはクリスチャンだけだ。俺は日本人であつてクリスチャンではない。
と言ふか金曜日が休みだと神保町の古書展行けねえ。