初出
野嵜健秀(@nozakitakehide)/2010年11月24日 - Twilog
野嵜健秀(@nozakitakehide)/2010年11月26日 - Twilog
公開
2017-06-29

東京都の性表現規制



チャタレイ裁判、日本のエロ規制反對派の人々にとつては、大變に都合の惡いものだと思ふ。猥褻だと言はれたロレンス、本當に猥褻な文書は規制しろ、俺のは藝術であり猥褻ではない、と主張してゐたのだ。

福田恆存が日本のチャタレイ裁判の辯護をして、そんなロレンスを全面的に肯定してゐる。

D.H.ロレンスは、ただのエロ本は當然規制されるべきだが、人間の下半身の存在を忘れた「純愛小説」なんかも不健全だ、と主張した。もちろん、こんな主張が單純な規制反對派に理解される筈もなく、當時のイギリスの連中は納得しなかつたし、現代の日本人も全然納得しない。

日本でのチャタレイ裁判の福田恆存による最終辯論は「ロレンスの結婚觀」の題で麗澤大學出版會版評論集第三卷に再録されてゐる。D.H.ロレンス『性・文學・檢閲』は新潮社から昔、福田恆存譯で單行本が出たがのちに絶版となり、長いこと入手困難なまゝになつてゐる。實質中村保男譯だつたから福田恆存飜譯全集に入つてゐないのだと思ふけれども、結構重要な本だから新潮文庫邊で再刊して呉れると有難い。

その他、チャタレイ裁判の參考書としてはC・H・ロルフ編『チャタレー夫人の裁判』(河出書房新社)なんてのがある。


まあ、一旦發禁になつたチャタレイ夫人の完全版が何年か經つと當り前のやうに流通する戰後の日本で規制だ發禁だ言はれてもぴんと來ない人が多いのは自然でね。

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