日本人は、一度決つた法律は、二度と改める事が出來ない、と心から信じてゐる。だから、嫌な法律が定められるとなると、妨碍に走る。次の選擧で自分逹の立場を代表する候補を當選させ、法律を廢止させる、と云ふ發想には絶對にならない。
日本人は、一度決つた法律は、何んなに嫌な法律であつても、まるで絶對の道徳的儀表のやうに、押頂いて、服從してしまふ。それまで何んなに激しい言葉で罵り、嘲つてゐたとしても。
決つたらどうせ默つて從つてしまふのだから、今反對してゐるのだつてどうせいんちきで、東京都の何とか條令の事だつて、みんな面白がつて騷いでゐるに過ぎない。