初出
セブンアンドワイみんなの書店「書肆言葉言葉言葉」
公開
2018-02-22

林健太郎『ワイマル共和国――ヒトラーを出現させたもの』(中公新書)の紹介

第一次大戰敗戰前後からナチスが政權を掌握する直前までのドイツ近代史。史料に基いた信頼出來る歴史概説であるが、同時に、歴史上の人物として屡々單純化されがちな政治家や政治運動家を生き生きと描いた興味深い讀物でもある。ドイツは、當時もつとも民主的と言はれたワイマール憲法を持ちながら結局ファシズムに陷つた。その理由は、單に「反動」が起きたからではなかつた。ドイツが、ワイマール憲法の下で、結局、本格的な民主政治を實現出來なかつた事、それが「先進國中の後進國」であつたドイツに於て避けられなかつた事態であつた事は、本書を讀めば理解出來よう。そして、筆者の林氏はそこまで書いてゐないのだが、日本の現状は、當時のドイツの情勢に酷似してゐるやうに私には思はれる。

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