キリスト教の文化では、「神のもの」と「カイザルのもの」とが嚴密に區別される。日本の文化では、「神」に屬するものは存在せず、世界は俗世間である。一方、イスラムの世界では、地上の世界が即聖なる世界であり、さうあるべきである、とされてゐる。イスラムの世界では、政治が、即、宗教――と言ふよりも、宗教が政治を支配する。日本とも西歐社會とも異質な價値觀を持つイスラムの世界を知る爲に、本書は良い入門書である。