本文正漢字正かなづかひ。
()内は初出誌。
津田左右吉は「公式には元號を用ゐるべきである」と言つてゐる。「しかし場合によりことがらによって、人々が隨意に、便宜上、いはゆる西暦を用ゐることは少しも差支がない。」云々。元號を用ゐる以上は、西暦を公式に採用すべきではない、との事。
元號と西暦を併用するのは繁雜だ、と云ふ意見に對し、津田左右吉は、抽象的に考へると繁雜だとしても、日常の實生活について考へると、さほど繁雜でもない、と反論してゐる。曰「二つあれば二つのものを適當に使ひわけるところに、人間生活の味ひがあるのではありますまいか。」