田中美知太郎先生の政治論集としては、すでにこれまで『政治的関心』(昭和二十三年、思索社)、『敢えて言う』(昭和三十三年、中央公論社)、『直言、そして考察』(昭和四十六年、講談社)の三冊の書物が公刊されている。ただし政治的な論文で他の書物に収録されているものも若干あるし、また、昭和四十六年以降に書かれたもののうち短いものは『思想に強くなること』(昭和五十三年、文藝春秋社)のなかに一部収録されているが、政治論集の形での第四冊目はまだ未公刊である。(なお、昭和四十三年一月までに書かれたものは『田中美知太郎全集』第十巻=昭和四十五年、筑摩書房=のなかにも再録されている)。
本書は主として上記三つの政治論集のなかからいくつかの論文を選び出して、これを一冊の選集となるように新たに編集し直したものである。……。