制作者(webmaster)
野嵜健秀(Takehide Nozaki)
公開
2011-06-01

田中美知太郎『今日の政治的関心』

今日の政治的関心
昭和六十一年二月十五日第一刷
文藝春秋
『今日の政治的関心』第一刷カヴァ

内容

初出一覧。卷末の記載に基く。

I
今日の政治的関心(一)
中央公論 1958年9月
論壇時評・一九六〇年七月
読売新聞 1960年7月
今日の政治的関心(二)
中央公論 1960年9月
スターリン体制下の哲学(「唯物論批判のために」解題)
河出書房刊『哲学講座』1956年1月
マルクスは二度死ぬ
諸君! 1983年7月
II
十月二十三日のこと
文藝春秋 1978年12月
三つの事件をめぐって
文藝春秋 1980年7月
ワレサ来日(「今日の政治的関心」改題)
文藝春秋 1981年7月
常識の立場
文藝春秋 1982年2月
革命前夜から戦争前夜へ(「今日の政治的関心」改題)
文藝春秋 1983年6月
二つの汚職事件から(副題「今日の政治的関心」)
文藝春秋 1984年3月
今日さし当りの平和の条件
サンケイ新聞 1985年1月3日
III
ノンポリ・ラディカルとの対話
中央公論 1969年4月
政治家の「条件」を考え直す
サンケイ新聞 1977年1月3日
日本の自己主張のために
サンケイ新聞 1978年1月3日
「恐怖からの解放」の恐ろしさ(「恐怖が自由を守る」改題)
サンケイ新聞 1979年1月3日
誰もわかってくれない?(「世界に通用する発想を」改題)
サンケイ新聞 1980年1月3日
選挙について考える(「ムードで選挙を戦うな」改題)
サンケイ新聞 1980年6月3日
二つの選挙結果(「世論の"二重構造"に惑うな」改題)
サンケイ新聞 1981年1月3日
政治家に問う、倫理とは何か
サンケイ新聞 1983年1月3日
「世論に惑わず」ということ
サンケイ新聞 1984年1月3日
道徳問題としての戦争と平和
中央公論 1966年1月

拔粹

倫理は何よりも自分自身にかかはるものであつて、他人を非難攻撃するためにあるのではない。


多くの場合、道徳は自分だけのアリバイ證明と自己辯護、そしてただ他を非難するための手段として利用されるに過ぎないのである。そして最も多く他を斷罪するものが、最大の道徳家といふことになりかねないのである。


意見の相違は五十歩、百歩のことで、どちらが絶對に正しいなどと言へるものでもなく、多數も少數も直ちに全體とはならないのである。だから、そのまま一應は多數決をとることにしておけばよいわけなのだ。ところが現今の政治論では、むやみと絶對性が求められ、そのための欺瞞や虚僞によつて、われわれは救ひやうのない困難に追ひこまれたりするのである。

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