小野祖教

おことわり

現在の國内・國外の状況を鑑みるに、戰後の神社神道及び神道關係者の拂つた努力は大變貴重であり、改めて採上げられ、參照される必要があります。研究者に限らず、意識の高い一般の讀者も、神社新報社等が發行する神道に關する信頼出來る出版物を參照してよいでせう。と言ふより、一次資料に直接當る事こそが重要であると考へます。さう云ふ意味では、斯うした「紹介」のコンテンツは大した意義を持つものではありません。ただ、現時點ではウェブ上にこの種の情報がまとまつて存在せず、神道に關心を持つた個人が情報を得る事すら出來ません。當座、情報を探すとつかかりとしてこの程度の内容の記事であつてもそれなりの機能を發揮する可能性があります。當サイトの制作者も決して良い讀者ではない訣で、詳細な情報が提供できるものでもないのですが、將來の讀者がここをきつかけに出現し、未來の日本の文化の發展に寄與する事があるかもしれないのであり、さう云ふ期待に基づいて、取敢ずこの記事を公開するものであります。


「小野祖教博士伝 神道教學に生きる」(昭和四十九年十月八日・小野祖教教授古稀祝賀会)を參考にしました。

著作

純粹論理學
昭和十四年五月十五日發行
亞里書店
國學院大學講師時代に論理學を擔當してゐた關係から書かれた專門參考書。
神社と国民組織
昭和十五年十一月
皇典講究所
神社神道講話
昭和二十四年八月二十日發行
神社新報社
神社本廳に設置された神道の理論及び教範に關する委員會の主査であつた小野氏が委員會に提出し、念入りな檢討を經た上で修正が行はれて完成、多くの委員の賛同を得た、事實上の「神道の教範」であるが、最終的に小野氏が責任を持つ個人の著作として刊行された。神社本廳の編纂として出すには時期尚早であるとの判斷に據る。
占領下――即ち神道指令を出したG.H.Qが存在してゐると云ふ事情もあり、政治的に問題となり得る事柄(即ち天皇の問題)等が省かれてゐる。
「神社神道講話」は、天皇の問題と天照大神の問題を突込んでゆく事ができないので、神道の雑感と云うか、絶対的なよりどころを、伝統的な神国的国体論(最近私はこういう言葉を用いている)のカラを破って、「まこと」に求めています。これは、キリスト教ならロゴス、仏教なら真理に当るものですが、神道では、認識の問題として考えるよりも、実践の問題であるという捉え方をした。そこで、小野神学が、神の存在、世界の存在の論を中心問題としないで、祭とか、祓とか、行為や状態の善悪とかいうものを中心問題とした行動論的態度論的神学になる訳です。私自身は、最も説得力のある教理論をまとめたと考えて居り、委員会の審査には堪えたが、歴史的な新しい発想によっているので、いきなり神社本庁が公認したり、標準説にしてしまってはいけない、こう考えたわけです。
神社神道百問百答
昭和二十五年七月
神道文化会
神道の啓蒙書。
神社神道神學入門
昭和二十六年八月五日印刷
昭和五十四年七月二十日十版発行
神社新報社
階位検定の参考書。
教養神社神道概論
昭和二十六年十月
神社新報社
階位検定の参考書。イ.現に生きている神道の問題に焦点を置く、ロ.必要知識を体系的に綜合する。ハ,問題を概括して論及するという三点を考慮しつゝ、神道の全容を正確にとらえようとした。
神道教学の輪郭
昭和三十四年三月
神社新報社
神道の基礎知識と基礎問題
昭和三十八年七月五日初版発行
昭和五十二年八月五日改訂増補第十二版発行
神社新報社
八百頁に上る大著で、百科辞典に代るといわれる程、多くの事項が整理して網羅されている高度の概論書である。
祭の体験と規範 正篇
昭和四十年六月
道徳教育学会
祭の体験と規範 続篇
昭和四十年八月
道徳教育学会
神道序説
昭和四十一年五月
道徳教育学会
神道をめぐる憲法問題
昭和四十三年十二月
小野研究室
神道の展望及び分析
昭和四十四年四月
小野研究室
憲法と靖国神社法
昭和四十四年四月
神道問題研究室
象徴天皇 日本人の原点から見る
昭和49年11月15日初版発行
浪漫

以下は英文の著作。

An Outline of Shinto Teachings
昭和三十四年
第五十九回国際宗教学宗教史会議に際し、日本文化研究所、神社本庁等が協力して出版した外人学者への参考出版物英文で神道教理を解説した戦後最初のもの
Shinto The Kami Way
昭和三十八年

關聯書籍

神道教学論攷
神道宗教学会編「神道宗教」第75〜79号(合併号)
昭和50年3月31日発行
神道宗教学会会長國學院大學教授小野祖教博士の古稀記念特輯号
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