バーチャルネット古本オタク櫻花23.4歳
2004年9月28日のお話
承前。
櫻花の勤める(住込み)某文学館。玄関。
話中では一時間と経過していない。
- 櫻花
- ……というわけで、資料館と言うからには資料があるわけだ。
- 蜜子
- ……いいかげんな説明だな例によって。
- のあ
- へええ、すごいですね。
- あやの
- 全然わからん。
- 櫻花
- まあ、資料投出しっぱなしみたいなところがあるしなうちは。
- 蜜子
- 別名手抜き。もうちょっと工夫すればわかりやすいのに。
- 櫻花
- ……いや、公開する資料はいっぱいあるのに、人手は一人分しかないのでな。
- 蜜子
- 説明文がマジックの殴り書きだし。
- 櫻花
- いちおう升目に合わせて書いてはいるぞ。
- 蜜子
- 字が汚いのが致命的だな。
- あやの
- そこでWordですよ。
- のあ
- あやのたんも字、汚いもんね。
- あやの
- やかましい。
- のあ
- うああ……。
- あやの
- あー泣かない泣かない。いい子いい子。
- 蜜子
- なんだこのコンビ。
- 櫻花
- 仲がいいねえ。若いとはいいもんだ。
- 蜜子
- いや、意味よくわからないし。
- 櫻花
- ところで何でうちになんかインターネット研究会がきたわけ? 話を聞かせてもらおうじゃない。
- のあ
- あー。
- あやの
- ええとですね。
- 蜜子
- そういえば、あたしもききたいわね。
- 櫻花
- ……。
- のあ
- 実は。
- あやの
- 櫻花さんのウェブサイトを見まして……。
- 蜜子
- 櫻花のウェブサイト?
- 櫻花
- ……いやまああはは。
- あやの
- 資料館のサイトなんですけどね。
- 蜜子
- ここのサイト?
- のあ
- うい。そうです。
- あやの
- 近所に強烈なカススタイラーがいるとなれば!
- 蜜子
- カススタイラー?!
- のあ
- しかもISO-HTML。
- あやの
- いいですよね、このマイナーぶり。
- 櫻花
- ……。
- のあ
- で。
- あやの
- 近所なもので。
- 櫻花
- サイト管理人の顔を見に来たと。
- のあ
- まあ。
- あやの
- そんなところかなあはは。
- 蜜子
- ……なんか櫻花、あたしの知らないところで何かやってたの?
- 櫻花
- いや、今はいんたーねっとのじだいだしーうぇぶさいとのひとつももっていないとー。
- 蜜子
- 科白棒読み。
- 櫻花
- ぱとろんさんから作れ作れってせっつかれてて。でも人手は一人分しか。
- のあ
- そこで。
- あやの
- スタイルシートですよ。
- 蜜子
- いやあのね。
- 櫻花
- 手間省く分にはいいんだけどね。
- のあ
- それより櫻花さんのウェブ日記がー。
- あやの
- 「櫻花さん番外地」。
- のあ
- いつも読んでいるのでーす。更新まだですかあ?
- 蜜子
- うわー。
- 櫻花
- ええとですね。
- のあ
- わくわく。
- 櫻花
- いや、あんまり期待されても。
- 蜜子
- と言ふか、それだけの理由で来たのかよ。
- あやの
- いえ、それだけではなくて。
- のあ
- 今度うちのくらぶで請負って、わたしの親戚の古本屋さんのウェブサイトを作るのです。
- あやの
- で。
- のあ
- それで、古本マニアの櫻花さんに御協力をおねがいしようと……。
- あやの
- ……というわけで。
- 櫻花
- 古本屋?
- 蜜子
- 早速反応してるし。
- のあ
- とりあえずごあんない。(電話帳のコピーを渡す。古本屋のページ。赤丸が附けられている)
- 櫻花
- 「夏草書房」……ここ、やってたの?
- のあ
- やってましたよずっと。
- 櫻花
- 前に店、探しに行って、見附けられなかったんだけど。
- のあ
- あーわかりにくいかもしれないですね場所。よろしければ今度、一緒に行っていただけませんかあ?
- 櫻花
- 一緒に?
- のあ
- 一緒に。
- あやの
- 打合わせをしたいんですけれども。もしよければ、御指導願えればと。
- 蜜子
- 御指導って。
- 櫻花
- よっしゃ。わたしに任せなさい。古本の事なら何でもききたまへ。
- のあ
- わあい。じゃ、くらぶの顧問、おねがいしますね。
- 蜜子
- 何?
- あやの
- いえ……まだうちの部、顧問がいなくって。
- 蜜子
- しかし、學外の人間が顧問って。
- のあ
- 問題ないです。校長先生から許可とってきました。とりあえず資料館の人なら大丈夫だろうって。
- 蜜子
- ……いいのか?
- 櫻花
- 何でもいいわよ、知らない古本屋行けるなら。
- のあ
- ほんとに古本、好きなんですね。
- 櫻花
- でも、最近は古本道も厭きててね――行ってもつまらない本屋だったら、がっかりかも。
- のあ
- それは大丈夫です。多分、この近所じゃ一番の古本屋さんですから。
- あやの
- この近所じゃ……ねえ。
- 櫻花
- ほほう。
- のあ
- あ、外、晴れてきましたよ。
- あやの
- 明るくなってきましたね。
- 櫻花
- おう、それじゃ、善は急げ、今から行ってみるか。
- のあ
- いいですねー行きましょう行きましょう。
- あやの
- 大丈夫かないきなり押しかけて。
- のあ
- わたしとお兄ちゃんの仲です。大丈夫です。
- 蜜子
- お兄ちゃん?
- のあ
- 夏草のお兄ちゃんです。
- あやの
- この子のいとこなのよ。店のあととり。ずいぶん気が合ったらしくってね。(なんか不機嫌そう)
- 櫻花
- よし、準備はおーけーだ。今すぐ出発だ。
- のあ
- わーい。
- あやの
- ……いいんですか? すみません。でも、ここ、留守にして大丈夫ですか?
- 櫻花
- ああ。それじゃ蜜子、あとは任せた。
- 蜜子
- あたしか、あたしが留守番か?!
- 櫻花
- では。さらばだ。
- のあ
- じゃあ、すいませーん。また来ますね。
- あやの
- そういう事で……って、待ってよ。
がちゃん。玄関の扉が閉る。あとに蜜子、独り取残される。
- 蜜子
- ……こういう落ちですか。……えーと。
- えー唐突ですが、今回で「櫻花さん番外地」はおしまいです。とりあえず、このURLでの更新は、これが最後です。理由はGeoCitiesがYahoo! GeoCitiesに完全移行するため。
- おそらくアーカイヴの形で言葉 言葉 言葉のどこかで再公開されるかも知れませんが、蜜子と櫻花の漫才シリーズは、これで御終ひです。
- 多分今後もこのサイト、この形のまゝ残ると思いますが、更新は終了です。なんか長期に亙り更新がなかったり、いろいろアレな内容だったりと、アレで何でしたが、長い間、閲覧下さいまして、本当にありがたうございました。
- と云ふ訣で、櫻花さんシリーズ第一期、「文學館篇」は完結。
- 一度は眠りについた「櫻花さん番外地」でしたが……。
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