バーチャルネット古本オタク櫻花23.4歳
2004年5月25日のお話
櫻花の勤める(住込み)某文学館。事務室。
ちりちりちり。黒電話が鳴る。
- 櫻花さん
- (受話器をとる)はい、もしもし、○○文学館です。
- 蜜子さん
- ! 黒電話。
- 櫻花さん
- はい。はい。はい……はあ。ええ。はい。はい。はい……。
- 蜜子さん
- 電話の応対を横で聴いてても、全然面白くないし。
- 櫻花さん
- あーはい。はい。えー。はい。はい。はい。
- 蜜子さん
- はいだのえーだのとそんな言葉だけで内容を推理しろと言われても。
- 櫻花さん
- はい。はい。えーと、お待ち下さい。××日は……と。大丈夫……ですね。休館じゃありません。あいています。はい。
- 蜜子さん
- とりあえず、この女。電話の応対は一往、できるらしいな。
- 櫻花さん
- えー。では、三時半にお待ちしていますね。はい。では。はい。はい。どうも。はい。はい。はい。
- 蜜子さん
- 終ったか?
- 櫻花さん
- はー。緊張した。(汗を拭く)
- 蜜子さん
- はいはい言ってるだけで汗なんかかくなよ。で、何だって?
- 櫻花さん
- 見学の申込みです。××日、午後三時。午前じゃありません。
- 蜜子さん
- そりゃそうだろうよ。
- 櫻花さん
- あたしは起きてますけどね。
- 蜜子さん
- 夜はちゃんと寝ろよ。
- 櫻花さん
- 本の整理をしてるとね……。
- 蜜子さん
- だからそんな事、夜にするなって。うるさいから、昼間やりなさい。
- 櫻花さん
- 昼間は文学館の資料整理しなくちゃいけないし。
- 蜜子さん
- ……一往、仕事はまじめにしてるんだな。
- 櫻花さん
- 最近気づいたんだけれども、あたしの趣味は、読書ではなくて整理なのではないかと。
- 蜜子さん
- 趣味?
- 櫻花さん
- 趣味にして仕事。ある意味、理想ですね。
- 蜜子さん
- ……どうでも良いよ、そんな事。で、見学だって?
- 櫻花さん
- そうです。見学です。女子高生。
- 蜜子さん
- 女子高生? 何? いっぱい来るの?
- 櫻花さん
- 何を昂奮してるんですか。二人です。なんかクラブ活動らしいんだけど。
- 蜜子さん
- 別に昂奮なんてしてないが……クラブ? 文学クラブとか読書クラブとか。
- 櫻花さん
- インターネット研究会だとか。
- 蜜子さん
- インターネット?
- 櫻花さん
- ウェブサイトがどうとか言っていたけど。のあさんとあやのさん、だって。あ。
- 蜜子さん
- 何?
- 櫻花さん
- 名前はきいたけど、苗字をきいてないや。というか、連絡先も何もきいてない。
- 蜜子さん
- ……やっぱり、電話の応対、まともにできないんだな、お前。
というわけで、次回に続くのです。
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