櫻花さん番外地
今回から題名が変わりました。
2001年8月25日のお話
- 蜜子さん
- あら? あんた、買ってきた本に、ラベル貼ってるの?
- 櫻花さん
- わたしは本の、ありのままの姿を大事にする女。
- 蜜子さん
- 何を言ってんだか。見なさいよ。「浅野文庫」だって。
- 櫻花さん
- わたしは、買ってきた本を、ありのままに保存するコレクター。
- 蜜子さん
- ……という事は、買ってきた時にこのラベルは既に貼られていたと?
- 櫻花さん
- その通りです。わたしはラベルの貼られた古本を買ってきたのです。
- 蜜子さん
- へえ……そういえば「浅野文庫」、ずいぶんいっぱいあるじゃない?
- 櫻花さん
- そうなのです。散佚した「浅野文庫」を、わたしは集めているのです。
- 蜜子さん
- 散佚?
- 櫻花さん
- そう。たしか、KO百貨店の古本市、K古書会館の古本市、某古本屋、その他で「浅野文庫」のラベルの附いた本を、わたしは買いました。
- 蜜子さん
- もの好きねえ。
- 櫻花さん
- かつて、浅野さんのお宅の本棚に、一堂に会していた本たちを、再びわたしの書棚に勢揃いさせる……それがわたしの夢。
- 蜜子さん
- 他人の蔵書を再現しようってわけ?
- 櫻花さん
- そう。それが完成した時、私は一人の蔵書家の人生を再現するのです。蔵書は人なり。
- 蜜子さん
- ふうん。それはいいけど。
- 櫻花さん
- ん?
- 蜜子さん
- 同じ本がもう一冊あるわよ。
- 櫻花さん
- あります。そっちは「長田蔵書」。
- 蜜子さん
- まあいいけど。ところで、どんな内容なの、その本?
- 櫻花さん
- ……さあ。
- 蜜子さん
- さあ……って、買うだけじゃなくて、たまには読みなさいよ。
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