蜜子さん番外地
2001年8月12日のお話
- 櫻花さん
- 今日は楽しいお買い物。
- 蜜子さん
- お買い物……。
- 櫻花さん
- 珍しく、デパートに来ているのです。
- 蜜子さん
- まあ、デパートだが。
- 櫻花さん
- 楽しい楽しい古本市。
- 蜜子さん
- 結局古本なんだよな。
- 櫻花さん
- 夏は古本市の季節なのです。
- 蜜子さん
- ……冬は?
- 櫻花さん
- 冬も古本市の季節なのです。
- 蜜子さん
- 秋は?
- 櫻花さん
- 神田古書まつりの季節なのです。
- 蜜子さん
- 一応聞いておく、春は?
- 櫻花さん
- 花粉症の季節なので嫌いです。
- 蜜子さん
- むう。
- 櫻花さん
- そんなことより、早く本を見に行きましょう。
- 蜜子さん
- 本当に楽しそうだな。
- 櫻花さん
- 古本! 感無量です。
- 蜜子さん
- ……。
- 櫻花さん
- 1500円。
- 蜜子さん
- ……?
- 櫻花さん
- おしい、2000円でした。パス。続いて……これは1000円するんじゃないかしらん。
- 蜜子さん
- 何?
- 櫻花さん
- 古本ハウマッチなのです。500円です。お買い徳です。うん、楽しい。
- 蜜子さん
- 嫌な客だな。
- 櫻花さん
- 何をおっしゃる蜜子さん。これは古本屋さんと私の駆け引きなのです。
- 蜜子さん
- はたからみると、不気味な古本おたくにしか見えないぞ。
- 櫻花さん
- ひと目を気にしていたら、女の子が古本なんて買ってられないのです。
- 蜜子さん
- そうなのか?
- 櫻花さん
- そうなのです。私は古本のために女を捨てられます。
- 蜜子さん
- そこまで言うか。
- 櫻花さん
- まあ、わたしは口だけの人間ですから。
- 蜜子さん
- ……しかし、なんだかんだ言いながら、もうそんなに本を抱え込んで……そんなに買えるのか?
- 櫻花さん
- お財布と相談です。多分買えません。買えない本は、棚に戻すのです。悲しい。
- 蜜子さん
- そんな目で私を見るな。
- 櫻花さん
- いえ、何も……。
- 蜜子さん
- ……とりあえず、今抱えてる分、全部でいくらになるんだ?
- 櫻花さん
- (勘定してる)えーと、25000円とちょっとです。
- 蜜子さん
- 財布の中身は?
- 櫻花さん
- 12000円と小銭が少々。今月もおこづかいは、残り少ないのです。
- 蜜子さん
- わかった、足らない分は出してやる。買ってやる。それで満足か。
- 櫻花さん
- そんな事をして貰っては困るのです。申し訳ないのです。それに……。
- 蜜子さん
- それに?
- 櫻花さん
- 欲しい本を泣く泣く棚に返すときの切なさがまた堪らない。
- 蜜子さん
- ……。
- 櫻花さん
- ……。
- 蜜子さん
- どうでもいいんだが、この調子じゃ、落ちが附かないな。
- 櫻花さん
- とりあえず、このあと、隣のデパートの古本市も見に行くので、話はそれに続くということで。
- 蜜子さん
- もう、金が無いんだろうが。
- 櫻花さん
- 蜜子、あたしの親友よね。お願い、お金貸して、お願い、ね!
- 蜜子さん
- ふざけるな。
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