公開
2004-11-28

小樽の馬

父から聞いたまま。


小樽の港にて。

ちよつとした坂道を、荷車を曳いた馬が登れなくて、ずり下がつて、海に落ちたのださうだ。二時間經つて引揚げられた馬は、齒の間から舌を突き出して凄い形相だつたと云ふ。

能く二時間も見物してゐたものである。


花火大會があつたのださうである。

曇つてゐたので、花火が打ち上がつても、雲が赤や緑に光るだけだつたさうである。


半年も北海道を廻つた父は、こんな事ばかり覺えてゐるらしい。

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