しかしただ一つ、編集委員会内で意見がなかなか一致しない問題があった。それは同特集に、天皇制を支持する立場の人の論文をも掲載するか否か、をめぐっての意見の相違であり、わたしは理性的な議論が展開されているかぎり、天皇を支持する立場との思想的交流こそがこの雑誌の性格にふさわしい、という理由で掲載することを強く主張し、委員会での数回にわたる論議の結果、その点でも意見の一致に到達することができた。
ファナティックな独断論的なものでない
思想的緊張性を欠いたものだといつた感想を述べたとの事である。これに對して葦津は「続・国民統合の象徴」で、
私が「思想の科学」に執筆するときに期待しているのは、科学的成否の判定であって、感情的な好悪の評判ではないのだが――。と述べ、
弁明してゐる。