硬い評論と軟い随筆が同居してゐる風変りな本が出来あがつた。(中略)まことに雑然とした本で、われながら呆れるくらゐだが、しかし日本語に対するわたしの関心をまるごと差出さうとすれば、どうしてもかうなるしかなかつた。わたしと日本語との関係は、これほど複雑で幅が広いのである。さういふ実状をわたしは偽らうとしなかつた。