ステフアンヌ・マラルメとならんで、近代象徴詩の始祖といはれる詩人である。
ポオル・ヴェルレエヌの一生は、酒と女と男色と、神と祈りと叛逆と、悖徳と悔恨とに獻げられて、全くデカダンと稱せらるに相應しい詩人である。生前二十卷の詩集と死後數巻に集められた遺作とを合せて、創作した詩は約五百四十篇、この中佳什は辛うじて四五十篇に過ぎないが、之らの佳作はフランスの詩歌に爽やかな黎明の大氣を吹き込んでゐる。晩年の敗殘放浪の詩人を、家に招じて款待した閨秀作家ラシルドRachildeは言ふ、『ヴェルレエヌですか? 窓を開けました!』
ランボーへの拳銃發砲事件で入獄したヴェルレーヌが、獄中で書きはじめたもの。カトリックに改宗したヴェルレーヌの宗教詩。詩の中で表現されてゐるイメージが極めて明確である事を、河上徹太郎が指摘してゐる。