アンリ・ベルグソン

『形而上學敍説』

『形而上學敍説』でベルグソンは、動いてゐる「もの」を例に擧げて、實證科學と形而上學の區別を示した。

ベルグソンは、運動してゐる「もの」に對する人の態度として、以下の二つの態度がある事を示した。

  1. 「もの」の外に立つてそれを分析する事。
  2. 想像力によって「もの」の内部に「入り込む」、「もの」の状態に同感を持ち、精神状態を歸屬させる事。

そして、兩者の間には本質的な違ひがあると主張した。ベルグソンは、前者を「相對のうちにとどまる認識」、後者を「可能な場合、絶対に達する認識」――「直觀」――と呼んだ。そして、後者の方法こそが、直觀こそが形而上學で用ゐられる方法であるとした。

ベルグソンの考へ方は、小林秀雄に強く影響を與へてゐる。小林が『本居宣長』で執拗に述べてゐるのは、ベルグソン流の認識の仕方を宣長等が行つて來た事である。

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