文學座による昭和二十九(1954)年三月の公演(第五十七囘公演、国民劇場)。神西清の新譯による。
演出としてかかはつてゐた岸田國士は、昭和二十九年三月四日の舞臺稽古中に倒れ、東大病院に入院した。翌三月五日に死去(腦卒中)、六十四歳だつた。同日が「どん底」初日で、客席に遺影が飾られた。
卷頭に昭和29年3月3日一ツ橋講堂における舞台稽古中の岸田国士の寫眞(田沼武能撮影)を收める。
昭和29年3月3日一ツ橋講堂における舞台稽古中の岸田国士