『太宰と芥川』

昭和二十二年中央公論社刊『作家の態度』所收の「芥川龍之介」と雜誌「群像」の本年六・七月にのつた「道化の文學」(太宰治論)とをあはせて、一册の本にしてだすやうにといふ話が新潮社からあつた。本論にもあきらかなごとく、もともとぼくはこの二人の作家の資質・態度・在りかたに共通な要素を認めてゐたので、その企畫もぜんぜん意味がないわけでもないとおもつた。心中したもの同士をひとつ墳墓に葬るといふ心いきである。

書誌情報

昭和二十三年十月二十五日發行

新潮社

目次

1. 芥川龍之介
2. 太宰治
3. 太宰と芥川

「芥川龍之介」は「芥川龍之介(II)」として、「太宰治」は「太宰治(I)」として、『芥川龍之介と太宰治』(第三文明社・レグルス文庫82)に再録。

「太宰と芥川」は書下しの架空對談。再録なし。