ジョージ・スタイナー
イギリスの批評家。『悲劇の死』が日本では良く知られてゐる。
略歴
- 1929年、オーストリア系ユダヤ人としてパリに生れる。
- パリのリセで教育を受けたのち、ナチに追はれて1940年、アメリカに亡命。
- ニューヨークのフレンチ・リセで教育を續行。
- 1948年、シカゴ大學で學士號を取得。ハーヴァード大學で修士號を取得したのち、1955年、オクスフォード大學に留學して博士號を取得。
- 1952年から56年までは「エコノミスト」編輯員。
- 1957年、プリンストン高等學術研究所員となる。
- 1959年から60年にかけて、プリンストン大學ガウス人文學講座教授。
- 1961年、ケンブリッジ大學チャーチル・カレッジの研究員(フェロー)(イギリス科主任)、1969年、滿期により特別研究員(エクストローディナリー・フェロー)となる。
- 1974年よりスイス・ジュネーヴ大學教授(英文學・比較文學擔當)。
- 同年6月、「イングリッシュ・アソシエーション」(英語・英文學會)會長に推擧される。
- 1974年4月、慶應義塾大學の久保田万太郎基金の招きによつて來日。
著作
- トルストイかドストエフスキーか
- Tolstoy or Dostjevsky, 1959
- 中川敏譯・白水社
- 飜譯が非常に拙い。
- 悲劇の死
- The Death of Tragedy, 1961
- 1979年6月・喜志哲雄・蜂谷昭雄譯・筑摩書房・筑摩叢書
- 1995年9月7日・ちくま學藝文庫 ※序文が追加
- 題名はニーチェの『悲劇の誕生』の捩り。現代は物語において悲劇が成立しない時代である、と云ふ内容。單なる文學論ではなく文明論の領域に屬する文章である。悲劇的なものを受容れられない現代人の精神について論じてゐる。
- 飜譯は例によつて非常に拙い。
- 言語と沈默
- Language and Silence, 1967
- 由良君美譯・せりか書房
- 脱領域の知性
- Extraterritorial, 1971
- 由良君美他譯・河出書房新社
- 青髯の城にて──文化の再定義への覺書
- In Bluebeard's Castle:Some Notes Towards the Re-definition of Culture, 1971
- 1973年1月10日發行・桂田重利譯・みすず書房
- 言ふまでもなく、題名はT.S.Eliotの「文化の定義のための覺書」を基にしたもので、内容はその再檢討と批判。
- 白夜のチェス戰爭
- The Sporting Scene:White Knights of Reykjavik, 1973
- 諸岡敏行譯・晶文社
- チェスの試合の觀戰記。大した著作ではない。
- バベルの後に──言語と飜譯の諸樣相
- 1975
- 難解さについて、その他のエッセイ
- 1978
- ハイデガー
- Heidegger, 1978
- 1980年7月23日第1刷發行・1980年12月15日第2刷發行・生松敬三譯・岩波書店
- アンティゴネーの變貌
- 1984年・海老根宏・山本史郎譯・みすず書房
- 眞の存在
- 1989年・工藤政司譯・法政大學出版局
- ヒトラーの辯明
- 1979年・佐川愛子・大西哲譯・三交社
- 小説
- 證據と三つの寓話
- 1992
- ジョージ・スタイナー讀本
- 1984, Penguin Books
- 著作からの拔粹
- 文學と人間の言語──日本におけるG・ジョージ・スタイナー──
- 文學と人間の言語──日本におけるG・ジョージ・スタイナー──における日本の知識人
- 文化の<アイデンティティー>を求めて(G・スタイナー/山口昌男)
- 現代と文學・現代とことば(G・スタイナー/江藤淳)
- 昭和49年12月10日發行・池田彌三郎編・慶應義塾三田文學ライブラリー
- 講演1篇を收める他、加藤周一、高橋康也、山口昌男、江藤淳との對談及び日本側關係者の座談會・エッセイを收録。日本の「知識人」相手に本音で語つて言爭ひまでしてゐるスタイナーの訪日の記録。