制作者(webmaster)
野嵜健秀(Takehide Nozaki)
公開
2011-03-21

「日本の維新と外國の革命」

書誌

初出
神社本庁編『神國の理想』(昭和四十八年十二月一日発行・神社本庁)
再録
『みやびと覇権―類纂 天皇論』(抄録、「日本型放伐思想史の展開」と改題)

本文より

後世明治時代の帝國憲法では、裁判の權(統治權)は、天皇にぞくする大義を明らかに示し、しかも實際の裁判權の行使は、獨立した司法府(裁判所)に一任して、天皇は干渉されないことを明示された。このやうな場合に、司法權そのものは、天皇にぞくするが、司法權の行使者は裁判所であると云ふ。攝關政治とか幕府政治といふのは、決して天皇の統治權者たる御地位を、法的に否定したものではなくして、「天皇の御名に於て」統治權を行使したものなのである。徳川幕府の大政奉還といふのは、この大政行使權限の奉還であつて、大政の權そのものの奉還ではない。幕府隆盛の時代であつても、統治權そのものは、天皇にぞくしたのであつて、天皇の任命(將軍宣下の御沙汰)によつて歴代の將軍は、大政行使の權限をみとめられたのである。(その行政權行使が、よくその任務を果したか否かは、問題があるが、天皇統治の大原則が破られたわけではない)

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